のまうまは、日本に昔から住んでいる馬(日本在来馬)の中で1番小さい馬です。
のまうまの歴史は、江戸時代(1635年)にさかのぼり、今治のお殿様(久松定房)が兄の松山のお殿様(久松定行)に命令され、瀬戸内海に浮かぶ馬島で、合戦(戦争)に使う馬を育てることになりました。しかし、病気やえさ不足のため、長続きしませんでした。そこで、馬を当時の松山領の野間郡(現在のハイランドがある周辺地域)の農家で育ててもらい、体高が4尺(約121cm)より高い馬は買い取り、それより低い馬は、農家に無料で払い下げることとしました。こうして農家では体高の低い馬どうしの子供が生まれ、今のような小さい野間馬が出来上がったのではないかと言われています。
野間馬は、おとなしい性格で粗食に耐え、よく働き、丈夫で力もちだったので、田や畑を耕したり荷物を運んだりするのに大変役立っていました。
しかし、明治時代になると、国が軍馬(戦争に使う馬)を育てるために小さい馬を育てることを禁止したり、昭和になって農業機械や自動車が普及したためその数は年々減っていきました。昭和30年代になると今治市には1頭もいなくなり、やがて日本中でも6頭だけとなってしまいました。そのうちの4頭を守り育てていたのが松山市の長岡悟さんでした。長岡さんは昭和53年に野間馬のふる里である今治市に、この貴重な4頭を寄付してくれました。今治市では、さっそく「野間馬保存会」を作りこれらの馬を「ふる里の宝」として地域のみんなで大切に育て増やしてきました。
野間馬は、昭和60年10月に日本馬事協会より全国で8番目の日本在来馬に認定され、昭和63年4月には今治市の指定文化財に指定されています。